2026-08-25
複雑怪奇なOTC類似薬の保険給付見直し
2027年3月から「一部保険外療養(OTC類似薬の保険給付見直し)」が始まります。具体的な運用に関しては6月より「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会」が開催され、議論されています。
8月に入り、中間とりまとめが公表されましたが、その内容が非常に複雑です。現時点で分かっている部分を見てみたいと思います。
参考資料
OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた中間とりまとめ(厚生労働省)
📄 中間とりまとめ PDFを表示する
OTC類似薬の保険給付見直しに向けた議論の概要
OTC類似薬の保険給付見直しは正しくは「一部保険外療養」という制度に位置付けられます。「保険外併用療養費制度」の一部である「選定療養」と似た仕組みではありますが、別の仕組みに位置付けられています。そのため、制度開始には健康保険法の改正が必要であり、2026年5月29日に可決しています。
基本的な運用は「OTC医薬品と成分、投与経路が同一で、一日最大用量が異ならない医療用医薬品(約77成分)を使用する場合には、原則として別途の負担(薬剤費の1/4)を求める」というものです。
📊 スライド資料:OTC類似薬の保険給付見直しに向けた議論の概要
現在の課題は、必要な受診が確保されるよう、「効能効果の対応関係・別途負担を求めない範囲」をどうするかという点についてです。今回の「中間とりまとめ」では、「別途の負担」の発生有無、負担を求めない範囲についての議論した結果がまとめられています。
📊 スライド資料:効能効果の対応関係・別途負担を求めない範囲(P10)
別途負担を求めない医療用医薬品の使用
本制度は、必要な受診を行った上で、結果的に対象となる医療用医薬品が支給される場合に別途負担を求めるものであり、一律にOTC医薬品を用いたセルフメディケーションを求めるものではないと制度を説明しています。そのうえで、OTC医薬品で認められていない効能・効果を目的として医療用医薬品を使用する場合は、別途の負担を求めないとしています。
医療用医薬品とOTC医薬品の効能・効果の対応関係については「①効能・効果が対応すると整理される場合」「②効能・効果が対応しないと整理される場合」の類型に分けてそれぞれ整理しています。別途の負担の対象となる各成分ごとの効能・効果の一覧(対象の有無)については、中間とりまとめに別紙で添付されています。
別途負担を求めない者と療養の範囲(除外規定)
一部保険外療養は引き続き必要な医療が確保されるよう、こども、がん患者や難病患者など配慮が必要な慢性疾患を抱えている方、低所得者、入院患者、医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える方等に対して別途負担を求めない配慮を行うとしています。
詳細は複雑なため、ぜひ「中間とりまとめ」に一度目を通していただきたいですが、複雑な運用方法にはすでに「事務負担が増加する」と警戒する声が上がっています。
今後の課題と展開
結論については、今回のとりまとめをもとに、令和8年秋ごろに予定しているとしていますが、現時点ではかなり複雑で医療機関や薬局、そして患者にとっても理解が難しい内容になっていると考えます。
「別途の負担」を徴収する以前に、対象可否かどうかの正しい判断が問われます。また特別な負担を徴収しないことによる罰則規定が設けられるのかどうか。複雑すぎる仕組みに対し「徴収しない」という選択肢を許すのなら、制度自体が本末転倒となってしまいます。今後の展開がどうなるのか。その方向性に注目が集まります。





