2026-06-30
施設在宅に激震
経済上の利益の提供による誘引の禁止について
令和8年6月23日「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則第2条の3の2第2項に規定する経済上の利益の提供による誘引の禁止について」という事務連絡が発せられ施設在宅に取り組む薬局に大きな課題が生じています。
在宅医療業界、とくに施設在宅ではかねてより「患者紹介ビジネス」が問題になっていました。また、薬局が施設側のシステム利用料を負担することにより、施設の担当薬局を切り替えてもらうといった利益提供も指摘されています。
今回の事務連絡では、高齢者施設等に対して経済上の利益の提供を伴う行為について明確化し、それらの行為については口頭指導、さらには個別指導の対象とする旨を通知しています。
禁止される「経済上の利益提供」の具体例
経済上の利益提供を伴う行為としては、主に以下の内容が挙げられています。
- 患者紹介に伴う金品の提供
- 配薬カートや調剤棚等、高齢者施設等に備え付ける什器の提供
- 高齢者施設等が利用するシステム(施設職員による配薬を支援するシステムや、入居者の見守りシステム等)の導入又は利用費用の負担
『ここでいう「経済上の利益の提供」には、保険薬局が直接的に又は第三者を介して間接的に行うか否かにかかわらず、高齢者施設等への金銭の供与のほか、明らかに服薬管理指導業務と関係のない物品やサービスの提供を保険薬局の負担により行うこと(寄付を含めて無償若しくは安価で提供すること又は無償若しくは安価で貸与すること。)も含まれる』
昨今、施設紹介の仲介事業を行う事業者もいますが、このような関わりも禁止事項に該当すると考えられます。
営業戦略への影響と「グレーゾーン」の境界線
配薬カートや什器等については、下記のように示されているものの、その範囲はやや不明確です。
『患者個別に用意する服薬カレンダーや服薬ボックス等について、保険薬局の薬剤師が服薬管理指導業務の一環として必要と判断した場合には、保険薬局の負担により手配することは「経済上の利益の提供」に該当しない』
施設在宅を行う際には、配薬管理まで提案することが常であり、薬局切り替えの「策」として管理方法の提案は試行錯誤しているところだと思います。服薬支援システムなども営業戦略の一つといえます。
たしかに、昨今では服薬支援システム等の販売業者が施設側に「薬局側に費用負担をさせる」ことを条件に薬局の切り替えを提案しているという話も耳にします。
猶予は1年間。求められる契約の切り替え
末文には以下のような経過措置が記載されています。
『当該取扱いについてはこれまで明確化していなかったことを踏まえ、令和8年6月 23 日において現に保険薬局が継続的な費用負担により行っている行為については、令和9年5月 31 日までの間に限り、「経済上の利益の提供」に該当しないものとみなします。』
すでに導入しているところについては1年間の経過措置を設けるので、その間に物品やシステムを施設側に購入・契約を切り替えしなさいという意味合いであり、この取り扱いをどうするのか施設在宅に取り組む薬局では頭を悩ませるところです。
今後の展望と施設在宅の戦略
従来、居宅療養管理指導費は利用者と事業者が契約を結び役務を提供する保険サービスです。当然ながら、どの利用者を選択するのかは利用者にあり、施設側が提供事業者を選定することは不適切な行為といえます。
しかしながら、ここまで明確なルールがない中で多くの高齢者施設が薬局と関わり利用者にサービスを提供している中で、これからの運用に対して混乱が生じることは避けられません。
さまざまな見直しが進んでいる2026年。施設在宅のこれからの戦略が大きく変わります。





