2026-07-30
「骨太の方針2026」を深く読み解く
長期金利の急騰や歴史的な円安の進行を引き起こし「骨太ショック」と呼ばれた、今回の骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)ですが、従来の見直しに向けて大きく舵を切った政策方針と言えます。経済的なことはさておき、社会保障分野はどう記載され、どう変化していくのか。その内容を考えてみたいと思います。
社会保障制度は「医療DX」「賃上げ」「病院救済」「適正化」
近年、社会保障に関する記載はあまり多くなく、かつ目新しいものはありません。道半ばの医療DXを推進していくことに加え、AIを活用したAX(AI Transformation)の取り組み。医療介護職の賃上げ、経営難が続く病院救済支援、給付の効率化と適正化といった内容が続きます。具体策として「長期処方・リフィル処方の推進」「地域フォーミュラリの全国展開」が挙げられています。
基本路線はこれまでと変わらないということです。しかしながら社会保障については連立政権合意書に盛り込まれた「13の社会保障改革項目」について順次実行するとし、この資料の読み込みが必要です。
【13の社会保障改革項目】
- 医療・介護等の保険財政の安定化・持続可能性の確保
- 保険者の権限、チェック機能の強化
- 年齢によらない公平な窓口負担の応能負担化
- 少子高齢化を踏まえた「高齢者」の定義見直し
- 中医協(中央社会保険医療協議会)のあり方の見直し
- 外来・訪問診療等の包括報酬の見直し
- 公的・民間保険の役割分担見直し
- 医療法人等のガバナンス見直し
- 医療・介護現場のデジタル化(DX)断行
- 第3号被保険者制度など見直し
- 医療の費用対効果分析の指標確立
- 医療機関の営利事業のあり方の見直し
- 控除対象外消費税など、高度医療機器更新等の税負担見直し
📄 連立政権合意書 PDFを表示する
社会保障制度改革は「攻めの予防医療」
社会保障に関する記載で新たに「攻めの予防医療」というワードが登場します。その中に「薬局」という記載が1か所だけあります。「地域住民の健康増進に資する薬局機能及び薬剤師の果たす役割の強化」という一文です。これは言うまでもなく新薬局認定制度「健康増進支援薬局」(現「健康サポート薬局」)のことを指しています。
OTC類似薬については27年3月より保険給付見直し(一部保険外療養)が開始となりますが、スイッチOTCについては別の視点から改革が進んでおり「スイッチOTC化に係る政策目標」として「2023年末時点で海外2カ国以上でスイッチOTC化されている医薬品は、原則として2026年末までにOTC化すること」が進んでいます。この中に直近でOTC化された「レボノルゲストレル」「ランソプラゾール」「タダラフィル」なども含まれています。今後一層、スイッチOTCが進むと必然的に一部保険外療養の対象も増えることになります。
今後の展望と注目ポイント
骨太の方針だけを見ると、例年とさほど変化ない内容に見えますが、ポイントとなる用語を深掘りしていくと社会保障改革の方向性が垣間見えてきます。すべては解説できませんが、やはり「攻めの予防医療」に対し、制度だけでなく報酬も含めどう変化していくのかは今後の注目となります。





