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薬局お役立ち情報 - 副作用機序別分類を極めよう!

第61回 NSAIDsの血小板機能障害はなぜ起こるの?

Tags:  2024-05-23

引き続き、副作用機序別分類の具体例をご紹介していきます。
“副作用の起こる発生機序 3つの分類” 薬理作用・薬物過敏症・薬物毒性のどれに分類されるのか?どのような事に活用できるか?具体的に紹介していきます!
今回はNSAIDsの血小板機能障害についてご紹介します。

結論から!NSAIDsの血小板機能障害は、【副次的な薬理作用による副作用】です。

NSAIDsの主な効果は、炎症がある局所におけるプロスタグランジン(prostaglandin;PG)の産生阻害です。

組織が損傷すると炎症部位で、細胞膜のリン脂質からアラキドン酸が遊離されます。アラキドン酸はシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase;COX)により、PGへ変換されます。PG自体に発痛作用はありませんが、ブラジキニンなどの発痛物質の疼痛閾値を低下させます。したがって、NSAIDsは遊離されたアラキドン酸からPGを産生する経路の律速酵素でCOXの働きを阻害し鎮痛作用を発揮します。

血小板機能障害は、NSAIDsがCOXを可逆的に阻害し、トロンボキサンA2の血小板形成を抑制するために起こります。これにより、出血傾向が現れることがあります。

血小板では主にCOX-1が発現しているため、選択的COX-2阻害薬では血小板機能障害が軽減されます。

【服薬指導/フォローアップのポイント】
☑併用薬に注意①(アスピリン)
抗血小板療法に伴う低用量アスピリンとNSAIDsとの併用には注意が必要です。
NSAIDsによるアスピリンの抗血小板作用の減弱は、血栓性疾患の治療効果に大きな影響を与えることがあります。
⇒NSAIDsによって血小板のCOX-1の活性部位が先に占有されると、アスピリンが血小板の標的部位に結合できないため不可逆的な血小板機能阻害が起こらなくなり、アス  ピリンの抗血小板作用が発揮されなくなる可能性があります。

☑併用薬に注意②(ワルファリン、第Xa因子阻害剤)
併用により、ワルファリンの抗凝血作用を増強するおそれがあるため注意しましょう。
検査値の推移を確認し、ワルファリンの減量を検討する必要があります。
⇒NSAIDsのプロスタグランジン生合成抑制作用により血小板凝集が抑制され血液凝固能が低下し、抗凝血作用に相加されるためと考えられています。
また、第Xa因子阻害剤(エドキサバントシル酸塩水和物等)との併用で、抗血栓作用を増強するため、出血の危険性を増大させる恐れがあります

☑併用薬に注意③(OTC薬)
NSAIDsは、OTC薬としても販売されています。イブプロフェンやロキソプロフェンなどを含む解熱鎮痛剤等と併用しないよう患者さんへ事前に伝えておきましょう。
また、OTC薬を販売する際は、併用薬や既往歴の確認をしっかりと行うようにしましょう。

☑合併症・既往歴の確認
【禁忌】として、重大な血液の異常のある患者、【特定の背景を有する患者に関する注意】として、血液の異常又はその既往歴のある患者があげられています。
血小板機能障害を起こし、合併症が悪化する恐れや溶血性貧血等の副作用が起こりやすくなるため、確認を怠らないようにしましょう。

☑検査値(血小板)を継続的に確認しよう!
検査値に変化は見られないか?確認することで早期に発見することができる副作用です。
継続服用する場合は定期的に血小板の推移を確認しましょう。
また、血小板減少の初期症状(出血しやすい:鼻血や青あざ、疲労感など)がないか、副作用リスクの高い患者さんでは、特に自覚症状の有無を確認するようにしましょう。

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