第73回 NSAIDsの胃腸障害はなぜ起こるの?
Tags:GooCo 2025-08-01
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今回はNSAIDsの胃腸障害についてご紹介します。
まずは、結論から!
NSAIDsによる胃腸障害は、【副次的な薬理作用による副作用】&【薬物毒性による副作用】です。
NSAIDsの主な効果は、炎症がある局所におけるプロスタグランジン(prostaglandin;PG)の産生阻害です。
組織が損傷すると炎症部位で、細胞膜のリン脂質からアラキドン酸が遊離されます。アラキドン酸はシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase;COX)により、PGへ変換されます。PG自体に発痛作用はありませんが、ブラジキニンなどの発痛物質の疼痛閾値を低下させます。
NSAIDsは遊離されたアラキドン酸からPGを産生する経路の律速酵素で、COXの働きを阻害し鎮痛作用を発揮します。
NSAIDsによる胃腸障害の副作用発生機序は、冒頭でご紹介した2つの機序があります。
①副次的な薬理作用による副作用:PGの低下
NSAIDsによる胃腸障害は、COX-1が阻害されることにより、胃粘膜保護作用を有するPGであるPGE2とPGI2の合成が阻害されるためと考えられます。
②薬物毒性による副作用:胃粘膜を直接刺激
酸性NSAIDsは酸環境下で脂質膜に透過性となり、細胞内に侵入したNSAIDsは、中性の環境下で再び細胞膜に不透過性となって細胞内に蓄積し傷害を来すことが知られています。
【服薬指導/フォローアップのポイント】
☑現病歴・既往歴に注意!(消化性潰瘍)
プロスタグランジン合成阻害作用による胃粘膜防御能の低下により、消化性潰瘍を悪化させることがあります。
消化性潰瘍のある患者さんでは禁忌です。
☑併用薬の確認(①PG低下による胃腸障害対策)
胃粘膜が胃酸やペプシンの攻撃にさらされやすい状況の為となっています。
ミソプロストール:PGE1製剤
レバミピド:PGE2産生促進・粘膜の修復
を併用することにより、胃腸障害の軽減を図ることができます。
☑併用薬の確認(②胃粘膜への直接刺激による胃腸障害対策)
PPI:胃内PHを上昇・胃酸分泌抑制
を併用することにより、胃腸障害の軽減を図ることができます。
また、空腹時を避け多めの水で服用することで物理的に胃粘膜との接触を遮断し、胃腸障害を予防できます。
☑併用薬の確認(③他の消炎鎮痛剤)
他の消炎鎮痛剤との併用は避けることが望ましいです。
消炎鎮痛剤は、様々な診療科の処方や患者さん自身による購入の可能性もあるので、併用薬全般の把握が重要です。
☑服薬期間中のフォローアップを!
リスクの高い患者さん(ミソプロストール併用中・胃腸が弱い・消化性潰瘍の既往歴など)では、上記、服用タイミングや胃腸障害予防のための併用薬服用の状況を含め、服薬期間中の体調変化を確認するようにしましょう。
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