第64回 低用量アスピリンの胃腸障害はなぜ起こるの?
Tags:GooCo 2024-08-28
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引き続き、副作用機序別分類の具体例をご紹介していきます。
“副作用の起こる発生機序 3つの分類” 薬理作用・薬物過敏症・薬物毒性のどれに分類されるのか?どのような事に活用できるか?具体的に紹介していきます!
今回は、低用量アスピリンによる胃腸障害についてご紹介します。
低用量アスピリンによる胃腸障害は、【副次的な薬理作用による副作用】です。
低用量アスピリンの期待される薬理作用について確認しておきましょう。
低用量アスピリンはシクロオキシゲナーゼ1(COX-1)を阻害(セリン残基のアセチル化)することにより、トロンボキサンA2(TXA2)の合成を阻害し、血小板凝集抑制作用を示します。
抗炎症作用、解熱・鎮痛作用を期待する高用量のアスピリンでは、プロスタサイクリン(PGI2)の生成も抑制します。血小板凝集を促進させるTXA2と血小板凝集を抑制させるPGI2の両方の生成を抑え、結果的に血小板凝集抑制作用が打ち消されてしまいます。
低用量アスピリンによる胃腸障害は、NSAIDsによる胃腸障害と同じ発生機序です。COX-1を阻害することによりPG合成が抑制されることで、胃粘膜保護作用などの防御因子が低下して起こると考えられています。
このため、低用量アスピリンの長期投与を必要とする場合はPPIを併用する場合が多く、低用量アスピリンとPPIとの合剤も発売されています。
【服薬指導/フォローアップのポイント】
☑合併症・既往歴の確認
【禁忌】として、消化性潰瘍のある患者[プロスタグランジン生合成抑制作用により、胃の血流量が減少し、消化性潰瘍を悪化させることがある。]【慎重投与】として、消化性潰瘍の既往歴のある患者[消化性潰瘍を再発させることがある。]があげられています。
初処方となった際は、しっかりと確認しましょう。また、消化性潰瘍の既往歴がある患者さんに、投与する場合は、消化性潰瘍の再発予防の為、PPIの処方についても確認しましょう。
☑服用方法への注意を事前に説明しておこう
低用量アスピリンは、腸溶性製剤にすることで胃粘膜への直接刺激は軽減されています。
割ったり、砕いたり、すりつぶしたりしないで、そのままかまずに服用するよう説明しましょう。
☑PPIの併用目的をしっかり伝えよう!
低用量アスピリンは、腸溶性製剤にすることで胃粘膜への直接刺激は軽減されていますが、副次的な薬理作用による胃腸障害の頻度は高く予防のためにPPIを併用している場合も多くあります。
「胃は悪くないし…」「鎮痛剤のように胃に負担がかかる薬ではないから…」というような理由で服薬アドヒアランスが低下しないよう、薬の効果からくる副作用を予防するための併用薬である事を事前に伝えておくようにしましょう。
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